多くの受験生がなすおくんのような苦手意識を持っていると思います。
そこで、このブログでは、ただ条文や数字を「暗記する」のではなく、問題の背景やストーリーを「理解する」ことができるように分かりやすく解説していきます。
私は、中小企業診断士として支援機関で勤務し、日々中小企業の経営や政策と向き合っていますので、その知識を活かして解説します。
今日は小規模事業者経営発達支援融資制度についてです。
前回解説した小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)にそっくりな名前ですが、別の制度です。
過去10年の出題回数(平成23年度~令和2年度)は1回です。おそらく今後出題されることはないかとおもいますので、余裕がある方は勉強してください。
重要度
小規模事業者経営発達支援融資制度の解説
この制度、小規模事業者を支援するため、経営発達支援計画の認定を受けた商工会議所・商工会による経営指導を受ける小規模事業者に対し、日本政策金融公庫(国民生活事業)が低利で融資を行うものです。
経営発達支援計画についてはこちらの記事を参考にしてください。
この制度は、国が商工会議所・商工会に経営発達支援計画を策定させるインセンティブのひとつとしてつくられました。
しかし、令和元年度の融資実績は、19件、2.7億円(令和元年12月末時点)となっており、あまり利用されていません。マル経融資3万件に対して19件ですからね・・・制度の存続が怪しい状況です。
こうした状況なので試験で問われる可能性も低いとみています。
融資条件
- 貸付限度額:7,200万円
- 返済期間:運転資金8年以内、設備資金20年以内
- 利率:特別利率
貸付上限が7,200万円とマル経融資の2,000万円から大きく増額されています。
しかし、融資実績は、19件、2.7億円から計算すると、融資平均は1,400万円程度ですので、あまり上限を高くした意味がない現状です。
対象者要件
- 小規模企業者
- 経営発達支援計画の認定を受けた商工会議所・商工会から事業計画の策定・実施の支援をうけている
- 一定の雇用効果(新たな雇用または雇用の維持)が認められる
- 人材の確保・育成に努めていること
基本的な要件は、マル経融資と同じで、小企業企業者向けの融資制度です。また、経営発達支援計画を策定した商工会議所・商工会の支援を受けることが必要です。
ただし、経営発達支援計画はほとんどの商工会議所・商工会が策定しているので、ほとんどマル経融資と同じ要件とも言えます。
マル経融資と違う要件としては、雇用要件と人材育成に関する要件が入っている点です。
過去問にチャレンジ
問題
平成28年度 第27問からです。
小規模製造業者のX社は、事業の持続的発展のための取り組みに必要な機械設備の導入にあたり、 千万円の資金の借り入れを検討している。X社の社長から相談を受けた中小企業診断士のY氏は、X社に対して、小規模事業者経営発達支援融資制度を提案することにした。
以下は、X社の社長に対するY氏の説明である。空欄AとBに入る言葉の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
X社社長:「今ご提案をいただいた融資制度を利用するには、何か要件があるのでしょうか。」
Y 氏:「この融資制度の対象となるのは、小規模事業者の方で、次の要件をすべて満たす方になります。(A)の認定を受けた商工会・商工会議所から、売上の増加や収益の改善、持続的な経営のための事業計画策定にあたり助言とフォローアップを受けること。
・地域経済の活性化のために、(B)。
・経営者および従業員の知識、技能、管理能力の向上を図る研修に参加するなど人材の確保・育成に努めていること。
・商工業者であり、かつ、日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいること。以上が要件になります。」
X社社長:「了解しました。当社は融資対象になりそうですね。申し込みを検討してみます。」
(解答群)
ア A:経営改善普及事業 B:新たな雇用または雇用の維持が認められること
イ A:経営改善普及事業 B:地域資源を活用していることウ A:経営発達支援計画 B:新たな雇用または雇用の維持が認められること
エ A:経営発達支援計画 B:地域資源を活用していること
解答と解説
正解は「ウ」です。
まとめ
- 小規模事業者経営発達支援融資制度の対象者要件は
- 小規模企業者
- 経営発達支援計画の認定を受けた商工会議所・商工会から事業計画の策定・実施の支援をうけている
- 雇用効果がある
- おそらく試験で出題されません
以上、小規模事業者経営発達支援融資制度の解説でした。