今日紹介する本は、「今いる場所で突き抜けろ! ――強みに気づいて自由に働く4つのルール」です。
著者は、ジョージタウン大学の准教授で、学業や仕事の生産性を上げる方法などを書いたブログ「Study Hacks」の運営者であるカル・ニューポート氏です。
この本を一言でまとめるとこんな感じです。
好きなことを仕事にするためには、今の仕事をコツコツ頑張ることが近道ですよ
とても当たり前のことですが、「好きなことを仕事に」という言葉があちこちで飛び交う今の世の中には新鮮な主張に聞こえます。
ホリエモンとかの影響で好きなことを仕事にしなきゃと焦る意識高い系のサラリーマン
仕事にやりがいを感じる条件とは?
そもそも、なぜ「好きなことを仕事に」したいと思うのでしょうか?
それは、「好きなことを仕事に」すれば、仕事にやりがいを感じてイキイキと働けると考えているからではないでしょうか?
では、仕事にやりがいを感じるにはどのような条件が揃っていればいいのでしょうか?
この本では、「素晴らしい仕事を決定づける3つの条件」以下の3つを挙げています。
- 創造性
- 影響力
- 自由度
①の創造性は、クリエイティブな仕事の方がやりがいを感じやすいということです。
②の影響力は、社会に大きな影響を与える仕事の方がやりがいを感じやすいということです。
③の自由度は、勤務時間や服装など自分で自由に決められる方がやりがいを感じやすいということです。
創造性と影響力については、感じ方に個人差がありそうですが、自由度についてはほとんどすべての人が重要だと感じるのではないでしょうか。
大事なのは順番
問題はこれらの条件が限られた資源であり、組織に価値を提供した一部の人しか得る事ができないということです。
当然スキルがなく価値を提供していない下っ端にはこうした条件は与えられないのが普通です。会社という組織は、こうした条件を獲得するために出世競争をしているのです。
それなのに、入社して早々に「やりがいを感じない」とか言っている新入社員は世間知らずのお馬鹿さんとしか言いようがないのです。
つまり、この本で言いたいのは、「好きなことを仕事に」というのは順番が間違っているということです。スキルを磨いて価値を提供できる(=突き抜ける)ようになり、やりがいを感じる条件を獲得できた結果「仕事が好きになる」というのが正しい順番なのです。
自分にふさわしい仕事を探すより、今の仕事にふさわしい働き方をすることが重要なのです。
最後に、「好きなことを仕事に」という言葉に惑わされがちな人に、この本に書いてあったアドバイスを載せておきます。
この問題を研究すればするほど明らかになってくるのは、「好きを仕事に」という幻想のせいで、人々は、魔法のように自分にぴったりあった仕事が、どこかで自分を待っているのだ、と思うようになり、それが見つかったとなると、たちまち「これがまさに本当にやりたかった仕事なのだ」と納得してしまうということだ。問題は、当然の結果として、それが叶わなかった時には、厄介な状況に陥ることにある。転職を繰り返したり、深刻な自己不信に陥ったりするようになるのである。
今いる場所で突き抜けろ!: 強みに気づいて自由に働く4つのルール