中小企業診断士試験

中小企業診断士資格取得のメリット・デメリットは?

なすお
なすお
中小企業診断士の資格って本当に役に立つのかなぁ?ネットで調べていると「役に立たない」「意味ない」って言っている人も多いなぁ。 

中小企業診断士の資格取得を考えたときに、なすおくんのような悩みを持つ人は多いと思います。

中小企業診断士の勉強は少なくとも1年〜2年はかかるので、中小企業診断士資格を取ることによって得られるメリットが自分のニーズに合っているのか考えることが必要です。

そこで、この記事では中小企業診断士資格取得のメリット・デメリットについて解説します。

この記事は、中小企業診断協会が発表している「データでみる中小企業診断士2016年版」を参考にしています。

中小企業診断士資格取得のメリット

独立できる

中小企業診断士資格をとると、独立できる可能性が上がります

以下のグラフは、中小企業診断士の職業割合を示したものです。

「中小企業診断士の職業割合」データでみる中小企業診断士2016年版より

「プロコン経営」つまり独立した診断士の割合が44%となっています。中小企業診断士は独占業務がなく、独立しにくいとも言われますが、意外と独立している人が多いのです。

なすお
なすお
でも、この調査って診断協会会員向けに行なったものなんでしょ?診断協会って加入率が低いし、データに偏りがあるんじゃない? 

ぎくっ!!実は・・・そうなんです。

診断協会は中小企業診断士の業界団体なのですが、任意加入のため協会加入率は30%台と言われており、企業勤めの企業内診断士はあまり加入していません。

そのため、この数字は若干高くなっており、実際の独立割合は30%程度と言われています。

さらに、もう一点注意が必要なのは、資格を取れば若者でもすぐに独立できるという訳ではない点です。

以下のグラフは、独立した診断士の年齢割合を示したものです。

「独立診断士の年齢割合」データでみる中小企業診断士2016年版より

グラフを見ると、50歳代以上が78%ととても多くなっています

ある程度キャリアを積んだサラリーマンが、これまでの経験や専門性を活かして独立していることが分かります。

つまり、中小企業診断士資格を取れば独立できる可能性は上がりますが、現実として独立しているのは、これまでのキャリアで築いた「強み」がある人が多いです。

稼げる

独立した診断士は割と稼げます。

以下のグラフは、コンサル業務の年間売上の分布を示したものです。

「コンサル業務の年間売上」データでみる中小企業診断士2016年版より

売上1,000万円以上が38%と多いです

コンサルに原価はほとんどかからないので、売上≒年収とみていいでしょう。

年収1,000万円以上もらえるサラリーマンは全体の5%程度しかいないことを考えると、独立診断士の年収はかなり多いのです。

なすお
なすお
でも、このデータは年間100日以上コンサル業務をした人だけ対象にしているんだよね?これも偏りがあるんじゃない? 

ぎくっ!実は・・・そうなんです。

このデータは、業務日数100日以下の仕事があまりない診断士はサンプルから除かれているので、全体で見ると1,000万円以上稼げる診断士の割合は低くなります。

そのため、独立した診断士は、100日以上仕事が取れればという条件付きで「稼げる」としておきます。

経営に関する知識を学べる

中小企業診断士試験を通して経営の知識を体系的に学ぶことができます

それは、中小企業診断士試験が、経営学、経済学、運営管理、経営法務など経営に関する知識を広く問う試験だからです。

実際に、中小企業診断士資格取得の動機として最も多いのが「経営全般の勉強など自己啓発、スキルアップを図ることができるから」です。

多くの人が、企業で働く中で経営を学ぶ必要性を感じて、中小企業診断士資格を取得しているのです。

人脈が広がる

中小企業診断士になると人脈が広がります

それは、さまざまな業種の人が中小企業診断士を取得しており、実務補修や診断協会の活動を通して交流する機会が多くあるからです。

もちろん自分から積極的に動かないと人脈は広がりませんが、中小企業診断士になることで、人脈を広げる機会が増えます。

中小企業診断士資格取得のデメリット

独占業務がない

中小企業診断士は弁護士や税理士のように独占業務がありません

そのため、独立してもすぐに仕事を貰えない可能性があります。

「中小企業診断士資格は意味がない」と言われる最大の要因はこれでしょう。

ここをどう評価するかで中小企業診断士資格を取るべきかが分かれるかもしれません。

維持費がかかる

中小企業診断士資格は5年に1度更新が必要です。

更新のためには一定の要件を満たす必要があり、企業内診断士の場合は、年間5万円程度の維持費がかかります

維持費の内訳を詳しくみていきます。

更新のための1つ目の要件は、「知識の補充」という要件で、5年間で5回の「理論政策更新研修」を受講する必要があります。

この研修は、1回6千円程度かかるので、6千円×5回で3万円が必要になります。

更新のための2つ目の要件は、「実務の従事」という要件で、5年間で、30日以上のコンサル実務を行うことが必要になります。

独立診断士やコンサル会社勤務の人は、普段の仕事がそのまま実務日数にカウントされます。

一方、企業内診断士の場合、普段の仕事で企業向けにコンサルを行う人は少ないかと思います。

そこで、中小企業診断協会は、コンサル実務を行っていない方向けに、有料で実務従事できる機会を提供しています。

協会によって金額は異なりますが、大体6日間の実務で4万円程度のところが多いです。

更新には30日間の実務が必要ですので、5年間で20万円程度は必要になります。

つまり、企業内診断士の場合、年間の資格維持費は「知識の補充」で6千円、「実務の従事」で4万円で合計5万円程度かかることになります。

給料は上がらない

中小企業診断士の資格を取得しても、すぐに給料が上がる可能性は低いです。

メリットで挙げた稼げると矛盾するようですが、あれは独立した診断士の話です。

以下のグラフは、「中小企業診断士取得時に勤務先や関係先からはどう評価されましたか」という質問への回答結果です。

「資格取得後の評価」データでみる中小企業診断士2016年版より

「昇給・昇格した」人は3%「資格手当が支給された」人は9となっており、資格取得後に年収が上がった人は、たった12しかいません。

さらに、「勤務先、関係先の処遇に変化はなかった」人が30%と最も多いです。

これが悲しい現実なのです。

大抵の人は、中小企業診断士資格を取っても、同僚や上司から「へ〜、頑張ったね!」と言われるぐらいで、給料が上がる確率は少ないでしょう。

ですが、サラリーマン人生はマラソンみたいなものです。短期的には給料に結びつかなくても、徐々に勉強の成果がでてくると思いますので、長期的に見ればデメリットとは言えないでしょう。

まとめ

今回の記事のまとめです。

  • 中小企業診断士資格取得のメリット
    1. 独立できる
    2. 稼げる
    3. 経営に関する知識を学べる
    4. 人脈が広がる
  • 中小企業診断士資格取得のデメリット
    1. 独占業務がない
    2. 維持費がかかる
    3. 給料は上がらない

中小企業診断士試験の勉強は、少なくとも1年〜2年はかかります。

今回の記事で挙げたようなメリットが、自分の目的に合っているのかをよく考えてから勉強をスタートさせましょう。

目的が明確であれば、周囲の雑音に惑わされず、勉強に集中できるはずです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。