中小企業政策・補助金

事業再構築補助金とは?補助対象は?いつから公募開始?分かりやすく解説

※2月16日修正・追記しました

2021年1月28日、令和2年度第3次補正予算が成立しました。

成立前から話題になっていた、上限1億円の大型補助金、事業再構築補助金についての情報も色々と出てきました。

今回は、その事業再構築補助金について解説します。

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金とは、コロナによる経済社会の変化に対応するために中小企業が行う業態転換などの事業再構築にかかる経費の一部を補助するものです。

予算総額は11485億円、採択予定件数は55千件という超大型の補助金制度です。

国が行っている代表的な事業者向け補助金の「ものづくり補助金」の今年度の採択件数が1万件程度となっており、それと比べて採択件数は5倍近いので、採択される可能性も高いと思われます。

補助対象要件は?

補助対象となるのは以下の3つの要件を満たす事業者です。

簡単にまとめると、コロナで売上が減少している中小企業等が、認定支援機関と一緒に付加価値額の向上が見込まれる事業再構築を伴う事業計画を策定した場合に対象になります。

補助対象要件
  1. 申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等
  2. 自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定した中小企業等
  3. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成

事業区分、補助額、補助率は?

通常枠・卒業枠・V字回復枠

この補助金では、これまでの国の補助金ではなかった中堅企業という概念を使い、中小企業と中堅企業を区別して、補助額や補助率を設定しています。

中小企業向けには「通常枠」「卒業枠」という2つの枠があり、中堅企業向けには「通常枠」「グローバルV字回復枠」という2つの枠があり、「卒業枠」「グローバルV字回復枠」は「通常枠」に比べ補助上限額が高く設定されています。

規模補助上限
(補助下限)
補助率
通常枠中小
6,000万円
(100万円)
2/3
中堅8,000万円
(100万円)
1/2
卒業枠中小1億円
(6,000万円)
2/3
グローバル
V字回復枠
中堅1億円
(8,000万円)
1/2

※通常枠の中堅企業向けで、補助額4,000万円以上の場合の補助率は1/3。
※補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関も事業計画の策定に加わる必要があります。

卒業枠、グローバルV字回復枠には補助対象要件に加えて以下の条件が追加されています。

卒業枠

事業計画期間内に以下のいずれかにより、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向け ※400社限定

  1. 組織再編
  2. 新規設備投資
  3. グローバル展開
グローバルV字回復枠

以下の要件を全て満たす中堅企業向け ※100社限定

  1. 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること。
  3. グローバル展開を果たす事業であること。

中堅企業とは?
中小企業の範囲から外れた企業のうち、資本金10億円未満の会社。

緊急事態宣言特別枠

緊急事態宣言により影響を受けた事業者が利用できる補助金枠として「緊急事態宣言特別枠」があります。

従業員数によって、以下のような補助率・補助上限額が設定されています。補助率については、中小企業3/4、中堅企業2/3となっており通常枠より嵩上げされています。

従業員数補助上限
(補助下限)
補助率
緊急事態宣言
特別枠
5人以下500万円
(100万円)
3/4
6~20人1,000万円
(100万円)
3/4
21人以上1,500万円
(100万円)
3/4

補助対象要件に加えて以下の条件が追加されています。

緊急事態宣言特別枠
  • 令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少

ただし、新規投資を伴う事業再構築を行なった場合にもらえる補助金なので、赤字の補填ではありません。

事業の具体例は?

事業の具体例は以下のとおりです。

なすお
なすお
ヨガ教室の例が「事業再構築」にあたるなら、対象となる事業はかなり多そうだなぁ

補助対象経費は?

補助対象経費は以下のとおりです。

建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、 研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)

注目すべきは、建物費です。他の補助金では建物改修費は対象となっていても、建物の新設などの費用は対象外のケースが多いです。

この補助金はあえて「建物費」と「建物改修費」という書き方をしているので、おそらく新設費用も認められるものと思われます。

なすお
なすお
「飲食業から不動産賃貸業に進出」といった内容で、収益不動産を購入する事業も対象になったりするのかな? 

公募開始はいつから?

予定では3月から公募開始とされています。

また、今回の事業は令和4年度末まで実施されるとされています。

公募自体は令和3年度中かもしれませんが、事業実施は令和4年度まで行えるものと予想されます。

2月15日発表の概要資料で、2月15日以降の事前着手が可能とされました。ただし、公募開始後、事前着手申請書の提出が必要です。

また、相見積等が補助金の証拠書類の整備が必要です。

まとめ

  • コロナで売上が減少している中小企業等が、認定支援機関と一緒に、付加価値額の向上が見込まれる事業再構築を伴う事業計画を策定した場合に補助対象となる
  • 補助金の上限額は1億円、ただしほとんどの中小企業は通常枠の上限6,000万円、補助率2/3の利用になる
  • 売上が30%以上減少している事業者は緊急事態宣言特別枠が利用できる
  • 補助対象経費は、建物費・設備費・広告宣伝費など幅広い
  • 3月から公募開始予定、補助事業期間は令和4年度まで

以上、事業再構築補助金の解説でした。