今回調べた企業はICパッケージ基盤などを製造するイビデンです。
TSMCが茨城県つくば市につくった3DIC研究開発センターで最先端半導体の共同開発を行うなど最近注目が集まっている企業です。
以下の資料を参考にイビデンについてまとめました。
企業概要
設立 | 1912年 |
本社 | 岐阜県大垣市 |
従業員 | 連結11,888名 単体3,895名 |
特色 | インテル向けICパッケージが主力。 |
年収 | 732万円 |
主要仕入先 | レゾナック |
主要販売先 | インテル |
業績
業績について、企業分析ツールのバフェットコードを利用して分析していきます。
2023年3月期は、売上4,175億円、営業利益723億円となっており、増収増益傾向が続いています。営業利益率は17.3%とかなりの高収益となっています。
セグメント別の売上は、電子が73.6%、セラミックが26.4%となっています。また、利益の90%を電子部門が稼いでおり、近年の著しい成長は電子部門の貢献によるものです。
2023年3月期は、営業キャッシュフロー1,257億円、投資キャッシュフロー-1,040億円、財務キャッシュフロー925億円となっており、現金を稼ぐ力が強く、さらなる成長に向けて近年積極的な設備投資を実施しています。
- 21年3月期までに、大垣中央事業場を中心に約1,300億円の投資
- 24年3月期の稼働を目指し、河間事業場に総額1,800億円のICパッケージ基板新工場を建設中
- 26年3月期の稼働を目指し、岐阜県揖斐郡大野町に総額約2500億円のICパッケージ基板新工場を建設予定
沿革
1912年創業。日露戦争による電力需要の増大に伴って水力電気事業が急激に発展していたことに目をつけた地元の有力者たちが、京浜電鉄などの経営で名を馳せていた大垣出身の実業家、立川勇次郎を招き揖斐川電力株式会社を設立しました。
創業後、西横山発電所を建設し、電力事業は順調に成長。さらに、余剰電力を利用したカーバイドと合金鉄の製造に乗り出しました。
1942年、日中戦争の影響などにより電力事業の国家管理が始まったことなどから揖斐川電気工業株式会社に社名変更し、電気化学工業による素材メーカーとして成長します。
1973年、オイルショックによる影響を受け、揖斐川電気工業は事業体質の改善を目指して、今後強力に育成すべき事業分野の絞り込みを開始し、建材・カーボン分野で培った技術を活用できるプリント配線基板、電気炉技術を応用したセラミックファイバー、カーボン関連の特殊炭素製品の3つの製品を立ち上げました。
1996年、半導体のプラスチックパッケージ基板がMPU最大手のインテル社の目にとまり供給契約を結び、電子関連分野では絶大なネームバリューを持つ企業となっています。
主要製品
イビデンのセグメントは①セラミック関連②電子関連③建材関連の3つがあります。
各セグメントの主要製品は以下のとおりです。
セラミック関連 | ディーゼル車の排ガスに含まれる黒煙を除去するSiC-DPFなど自動車排気系部品など |
電子関連 | パソコン・データセンター向けCPUやAI・自動運転向けGPUなどのICパッケージ基盤など |
建材関連 | メラミン化粧板など |
主要製品の中で今注目されているのは電子関連のICパッケージ基盤です。
ICパッケージ基盤は、CPU(中央演算処理装置)などICチップとマザーボードをつなぐ部品であり、半導体製造の「後工程」で使用される部材です。
半導体の回路幅を狭くする「前工程」の進化が鈍る中で、異なる機能の半導体のチップを立体状にミルフィーユのように何層も積み上げる「3次元実装」が性能向上のカギとして注目されており、その3次元実装に欠かせないのが、「後工程」のパッケージ技術です。
この「後工程」で使用される主要部材であるICパッケージ基盤を製造し、世界シェア28%とトップを走るのがイビデンなのです。
拠点
イビデンはグローバルに展開しており北米、欧州、アジアに拠点を持っています。主力の電子関連の製造拠点はほぼ日本に集約されており、岐阜県に多くの工場があります。
売上構成は、日本24%、海外76%ですが、従業員構成は日本49%、海外51%と日本で働く人が多いのが特徴です。
まとめ
- イビデンは、ICパッケージ基盤の世界シェア28%のトップメーカー
- 創業者は京浜電鉄などの経営で名を馳せていた大垣出身の実業家、立川勇次郎
- 積極的な設備投資を進めており、26年3月期までに4,000億円近い投資を計画している
- 岐阜県に本社と生産拠点があり、欧州アジア北米にも拠点を持つグローバル企業