書評

【読書感想】「夢と金(著:西野亮廣)」機能でなく意味を売れ

今日紹介する本は、「夢と金(著:西野亮廣)」です。

著者は、お笑い芸人コンビキングコングの西野亮廣氏です。

この本は、「お金が尽きると夢が尽きる」という前提の下、クラウドファンディングやNFTを活用して、お金を稼ぐためにベースとなるビジネスの考え方について書かれた本です。

読む前は、漠然としたマインド系の本と思っていましたが、割と汎用性の高いビジネスの話が書かれていて驚きました。

おすすめ読者

クラウドファンディングやNFTを活用したい人や、新サービスを開発したい人。基本ビジネスに関わる人は読んでおいて損はない内容。

機能でなく意味を売れ

この本のメインメッセージは、「機能でなく意味を売れ」です。

そもそも、機能と意味とはなにかというと、機能とは「役に立つ、立たない」の軸で整理されるもので、競合がいるものです。一方で、意味とは「意味がある、ない」の軸で整理されるもので、ブランド価値があり、競合がいないものです。

さらに、競合がいる中で最高の体験は「プレミアム」に分類され、競合がいない中で最高の体験は「ラグジュアリー」に分類されます。

車を例にこの分類の具体例を示すと以下の図のようになります。

出典:「夢と金」

トヨタは、燃費や乗り心地など機能的に優れていて「役に立つ」が、「意味がない」プレミアム商品。フェラーリは、移動手段としてはあまり「役に立たない」が、所有欲が満たされる「意味がある」ラグジュアリー商品。

人口減少が進む日本では「たくさん売ることができない時代」に突入しており、「機能」より「意味」の重要性が高まっているのです。

しかし、職人気質の日本人は機能を追及しがちなのです。ラーメン屋の味の97点と98点では価格に差をつけられないにも関わらず、1点でも高い味を追求しているのです。

顧客をファン化する

では、大企業のように広告宣伝費に多額の費用をかけられない一般の人が商品・サービスに「意味」を持たせるにはどうすればいいのでしょうか?

それは、「顧客」ではなく「ファン」を増やすことが必要になります。

機能ではなく自分を応援してくれる人を増やすのです。ファンを生むための方法として、以下の2つが紹介されています。

まずは、「応援シロ」を作ることです。応援シロとは、目的地と現在地の距離から生まれるものです。どんな目的(夢)を持っていて、今何が足りないのかを周囲に共有することがファンを生むためには必要になります。

次に、「不便」を戦略的に配置して顧客とコミュニケーションを生むことです。例えばBBQは、自分で火をつけなければいけないのである意味不便ですが、そうした不便がコミュニケーションを生みます。顧客をファンにするには、コミュニケーションが必須なので、コミュニケーションを生む「不便」を製品やサービスに戦略的に盛り込むことが必要です。

感想

芸人の枠を飛び出してクラウドファンディングやNFTで実績を出している人の書いた本だけあって、説得力のある本でした。

特にNFTの話は、他のビジネス書で解説されているものよりも、現場感があって「そういう仕組みなのか」と気づかせてくれる内容になっています。

ただ、「意味」を売るというのはBtoCビジネスではイメージしやすいのですが、BtoBビジネスではどう実践するのかイメージしずらい面はあります。キーエンスみたいなソリューション営業が「意味」を売っているイメージになるのでしょうか。