中小企業庁の推計では、平均引退年齢である70歳を超える中小企業経営者は約245万人に達し、うち半数の127万人が後継者未定とされ、事業承継問題を放置すると中小企業の廃業等の急増により、2025年頃までの10年間に累計で約650万人の雇用と、約22兆円の国内総生産(GDP)が失われる可能性があると指摘されています。
こうした状況の中、国はさまざまな支援策を打ち出しています。
令和元年6月21日に閣議決定された「成長戦略(実行計画及びフォローアップ)」では
- 事業承継補助金の拡充
- 後継者人材バンクを事業引き継ぎ支援センターに拡充
- 事業引き継ぎガイドラインの見直し
令和元年6月21日に閣議決定された「骨太の方針(経済財政運営と改革の基 本方針)」では
- 事業承継税制の活用促進
- 10年程度の集中実施期間で予算、税制などの総合的な支援
- 第三者承継や経営資源引き継ぎ型の創業を後押し
- 後継者の保証を不要とする信用保証制度の創設
令和元年12月20日に発表された、「第三者承継支援総合パッケージ」では
- 事業引継ぎガイドラインの改訂
- 事業引継ぎ支援センターと民間プラットフォーマーの連携
- 後継者人材バンクの全国展開
- 事業引継ぎ支援センターと地域金融機関との連携強化
このように様々な政策を打ち出し、後継者不在による休廃業を食い止めようとしています。
また、国は、後継者不在などで、事業の存続に悩みを抱える中小企業・小規模事業者の方の相談に対応するため、 全国47都道府県に「事業引継ぎ支援センター」を設置しています。
令和元年度に事業引継ぎ支援センターを通して成約した事業引継ぎ件数は、1,176件となっており、年々増加傾向にあります。
ただし、国は第三者承継支援総合パッケージにおいて、今後今後10年間で60万者の第三者承継の実現を目指すとしており、年間6万件が目標となっております。
この数字は、事業引継ぎ支援センターが対応したもの以外も含むものですが、まだまだ目標に対してかなり隔たりがあると言えます。
都道府県別の相談件数と成約件数も公表されています。東京や大阪が相談件数は多いですが、企業数を考えると少ないようにも感じます。広島の相談件数と成約件数が他県に比べ高いようです。
コロナの影響により休廃業を選択する企業の大幅な増加が予想されるので、令和2年度は更なる件数の増加が予想されます。